相続コラム
「タワマン節税」はもう使えない?
令和6年改正でマンション評価はどう変わったか
「相続対策のひとつとして高層マンションを購入したのですが、税制が変わったと聞きました。私の場合はどうなるのでしょうか…」
このようなご相談が最近とても増えています。「タワマン節税」と呼ばれる手法は、長年にわたって相続税対策として活用されてきました。しかし令和6年(2024年)から、マンションの相続税評価の計算方法が大きく見直され、これまでの前提が変わりつつあります。
「購入したときの話と違う」と感じていらっしゃる方も多いと思います。ただ、改正の内容を正しく理解すれば、これから対応できることは十分あります。
今回は、ご相談にいらっしゃった植本さんのケースをもとに、改正のポイントとこれからの対応についてわかりやすく解説します。
植本さん(60代・男性)は数年前、相続対策のひとつとして都内の高層マンションを購入されました。当時、担当者から「評価額が低くなるので相続税の負担を抑えられる」と説明を受け、安心されていたそうです。
ところが最近、「マンションの評価方法が変わった」というニュースを目にし、「自分の場合はどうなるのか」と心配になってご相談にいらっしゃいました。
改正の影響がどのくらいあるかは物件によって異なりますが、まず改正の全体像を正しく理解しておくことが、これからの対策を考える出発点になります。
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そもそも「タワマン節税」とはどんな手法だったのか
高層マンションには、市場で売買される価格(時価)と、相続税の計算に使う評価額の間に、大きな差が生まれやすいという特性がありました。
特に高い階の部屋は市場価格が高くなる傾向がある一方、従来の評価計算では階数の違いがほとんど反映されませんでした。そのため、現金で相続する場合に比べて、相続税の負担が大きく抑えられるケースがありました。
この仕組みを意図的に活用して高層マンションを購入する動きが広まり、「タワマン節税」として広く知られるようになりました。
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令和6年改正で何が変わったのか
令和6年(2024年)1月1日以後に相続や贈与で取得したマンションから、新しい評価のルールが適用されることになりました。
新しいルールでは、評価額が時価(市場価格)により近い水準になるよう、「補正率」を使って計算する仕組みが導入されました。この補正率は、主に次の4つの要素をもとに算定されます。
補正率の計算に使われる4つの要素
- ✦築年数 新しい建物ほど評価が高くなる傾向があります
- ✦総階数 建物全体の階数が多いほど、評価に影響します
- ✦所在階 高い階にある部屋ほど、補正が大きくなります
- ✦敷地持分狭小度 敷地持分狭小度が高いほど、補正に影響します
注意が必要なのは、「改正前」に購入した物件であっても、令和6年以後に相続が発生した場合は新しいルールが適用されるという点です。購入時期ではなく、相続が起きた時期によって判断されます。
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影響を受けやすいのはどんなケース?
すべてのマンションが同じように影響を受けるわけではありません。特に影響が大きくなりやすいケースと、比較的影響が小さいケースを整理しておきましょう。
植本さんのように、節税目的でご購入された場合でも、まずは現在の評価額がどのくらいになるのかを専門家と一緒に確認することが大切です。実際に計算してみると、予想より影響が小さいケースもあれば、対策を考えなければならないケースもあります。