老人ホームに入っていたおばあちゃんの土地、 8割引きになるって本当?

相続税コラム

老人ホームに入っていたおばあちゃんの土地、8割引きになるって本当?

2026年 / 女性相続support 税理士コラム

「おばあちゃんは老人ホームで亡くなったけれど、ずっと一緒に住んでいた家の土地に小規模宅地等の特例は使えるの?」

そんなご相談、実はとても多くいただきます。

結論から言うと、一定の条件を満たせば、老人ホームに入っていた場合でも特例は使えます。

今回は実際の事例をもとに、3つのポイントを整理してわかりやすく解説します。

📖 事例

田中さん(娘・50代)は夫と子どもたちと一緒に、
長年おばあちゃん(田中よし子さん・82歳)と同じ家で暮らしていました。

ところが数年前からよし子さんの認知症が進み、在宅での介護が難しくなったため、
有料老人ホームへ入所。よし子さんはそのままホームで静かに旅立ちました。

よし子さんが亡くなった後、田中さんが自宅の土地を相続することになりましたが、
「おばあちゃんが老人ホームにいたから、小規模宅地の特例は使えないのでは……?」
と不安を抱えてご相談にいらっしゃいました。

1
どんな施設に入っていたか

小規模宅地等の特例が使えるのは、法律で定められた特定の施設に入っていた場合に限られます。「老人ホームならどこでもOK」というわけではないため、まずここを確認することが大切です。

✓ 特別養護老人ホーム(特養)
✓ 有料老人ホーム
✓ 介護老人保健施設(老健)
✓ 軽費老人ホーム
✓ 養護老人ホーム
✓ サービス付き高齢者向け住宅
✓ グループホーム(認知症対応型)
✓ 介護医療院

これらはいずれも、老人福祉法・介護保険法・高齢者住まい法などに基づいて都道府県に届け出・登録がされている施設です。

⚠️ 「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は原則OKですが、有料老人ホームとして届け出されているものとそうでないものがあり、確認が必要です。施設の届け出状況を事前にチェックしておきましょう。

田中さんのケースでは、よし子さんは有料老人ホームに入所していたため、この施設要件はクリアでした。

2
介護・支援の認定を受けていたか

次に確認するのが、亡くなった方が要介護認定または要支援認定を受けていたかどうかです。これは「介護が必要な状態で入所した」という事実を担保するための要件で、非常に重要なポイントです。

▶ 認定の種類(いずれかに該当すればOK)

  • 要介護認定(要介護1〜5)
  • 要支援認定(要支援1・2)
  • 障害支援区分の認定(障害者支援施設等へ入所の場合)

ここで多くの方が誤解されるのが「認定のタイミング」です。

❓ 老人ホームに入るときに認定を受けていなければいけない?

実は、判定のタイミングは「亡くなる直前」です。老人ホームへの入所時点では認定を受けていなくても、亡くなった時点で認定されていれば要件を満たします。

❓ 申請中に亡くなってしまったら?

要介護・要支援の認定は、申請日にさかのぼって効力が生じます。そのため、認定の申請中に亡くなった場合でも、その後に認定が下りれば特例を適用することができます。

✓ 特例を使える

・亡くなる直前に要介護認定あり
・入所後に認定を取得していた
・申請中に死亡→後日認定が下りた

✗ 特例を使えない

・認定もなく、申請もしていない
・自分の意思で入所(介護不要)
・単なる病院への入院

田中さんのよし子さんは、認知症の進行を受けて要介護認定(要介護2)を取得した上でホームへ入所していました。亡くなる直前も同じ認定を受けていたため、この要件はクリアです。

3
おばあちゃんが老人ホームに入った後、家をどう使っていたか

3つ目のポイントは、おばあちゃんが施設に入った後、自宅がどのように使われていたかです。ここは見落としがちですが、要件を満たさないと特例が使えなくなる場合があります。

OK

自宅を「そのまま使い続けていた」

田中さん一家がおばあちゃんの家に引き続き住み続けていたケースは、問題なく特例が適用できます。

OK

自宅が「空き家のまま」だった

誰も住んでいなかった(空き家)としても、下記のNGに該当していない限り、特例の適用は可能です。

NG

入所前に同居していなかった親族を新たに住まわせた

「空き家にしておくのももったいないから」と、入所前に同居していなかった親族を新たに住まわせた場合は特例が使えません。入所直前から引き続き同居している親族がそのまま住み続けている場合はOKです。

NG→一部可

第三者に「賃貸」した

おばあちゃんがホームに入った後、家を賃貸物件として他人に貸してしまうと、特定居住用宅地等(80%減額)としての適用はできません。ただし、貸付事業用宅地等として200㎡まで50%の評価減を受けることは可能です(3年以上の貸付が条件)。

田中さんの場合、おばあちゃんが入所後も娘家族がそのまま同じ家に住み続けていたため、この要件も問題なくクリアしていました。


📋 3つのポイントまとめ ── この3つをすべて満たせば特例が使えます

  1. 施設の種類:特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設など、法律に定められた施設に入所していること
  2. 介護・支援認定:亡くなる直前に要介護認定または要支援認定を受けていること(申請中でも可)
  3. 家の使われ方:入所後に、事業用・第三者への賃貸・入所前に同居していなかった親族の居住に使っていないこと(空き家のまま・入所直前からの同居親族がそのまま住み続けるケースはOK)

田中さんのケースでは3つの要件をすべて満たしていたため、

娘の田中さんが土地を相続する際に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等・80%評価減・330㎡まで)を適用することができました。

これにより、相続税が大幅に軽減されました。

★ 入所後の家の使い方は、相続税に大きく影響します。

「うちのケースはどうなるの?」と気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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たかやまあゆみ税理士事務所 女性相続support

税理士 たかやまあゆみ

相続専門の税理士として、相続・事業承継をサポート。「難しい税務をわかりやすく」をモットーに、多くのご家族の相続に寄り添っています。

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