令和8年度税制改正 相続・贈与のポイント

相続コラム

令和8年度税制改正で変わる
相続税・贈与税の3つのポイント

令和8年度の税制改正では、相続税・贈与税の分野で大きな見直しが行われました。改正の内容は大きく2つに分かれます。不動産の評価方法の変更と、教育資金贈与の非課税制度の廃止です。

賃貸物件・不動産小口化商品に関する評価ルールの見直しは、令和9年以降の相続・贈与から適用されます。一方、教育資金の一括贈与に係る非課税措置は、令和8年3月末をもってすでに終了しています。

特に不動産を活用した相続対策を検討されていた方は、令和9年を前にして改正の内容を正しく把握しておくことが大切です。今回は3つのポイントに絞って、それぞれの改正内容をわかりやすく解説します。

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賃貸物件の短期取得に対する評価見直し(概要)

これまで賃貸物件(アパート・マンション等)は、路線価をもとに計算した評価額で相続税が計算されるため、現金で持つより評価が低くなるケースが多くありました。この仕組みを活用して相続直前に賃貸物件を購入する節税策が広がっていたため、今回の改正でルールが見直されることになりました。

改正後は、相続開始前5年以内に取得した賃貸用不動産は、路線価ではなく通常の取引価額(市場価格に近い金額)をもとに評価されます。5年を経過した物件については、引き続き従来どおりの路線価評価が適用されます。

⚠️ 賃貸物件を活用した相続対策の詳細については、当事務所のコラム「賃貸物件と相続税」で別途詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。この改正を受けて「急いで購入すべきか」「購入をやめた方がいいのか」と迷われる方も多いと思いますが、個々の状況によって判断は異なります。焦って結論を出す前に、まずは専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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不動産小口化商品の評価見直し

不動産小口化商品とは、一棟のビルやマンションを小さな単位に分けて複数の投資家が共同で保有できる金融商品です。少額から不動産投資ができる仕組みとして近年広く普及しました。

相続対策の文脈では、実際の購入価格と相続税評価額の間に大きな差が生まれやすいという特性を活用し、節税手段として使われるケースが増えていました。この乖離が問題視され、今回の改正で評価方法が見直されることになりました。

改正のポイント

  • 対象商品 任意組合型・賃貸型、および信託受益権型の貸付用不動産が対象になります
  • 評価方法 取得時期に関係なく、相続・贈与時における通常の取引価額(市場価格に相当する金額)で評価されます
  • 賃貸物件との違い 賃貸物件は一定期間経過後に従来の路線価評価に戻りますが、不動産小口化商品は期間経過後も市場価格での評価が続きます

つまり、不動産小口化商品を購入してから何年が経過していても、相続・贈与時には市場価格に近い金額で評価されることになります。これまでの「評価額が低くなる」というメリットは、令和9年以降の相続・贈与では享受できなくなります。

⚠️ すでに不動産小口化商品を保有している方や、購入を検討していた方は、改正の影響を早めに確認することをおすすめします。また、令和8年度末以前の贈与であれば旧来のルールが適用されるため、タイミングの検討も重要です。

3
教育資金の一括贈与に係る非課税措置の終了

これまで「祖父母から孫へ、まとまった金額の教育資金を一括して贈与しても贈与税がかからない」という制度がありました。子育て・教育への支援を目的とした制度で、多くの方が生前贈与の手段として活用されてきました。

この非課税措置は、令和8年度末をもって終了することが決まりました。令和9年以降に行う教育資金の贈与については、通常の贈与税の課税対象となります。

制度を利用していた方の注意点

制度終了後も口座に残高がある場合、残額の取り扱いに注意が必要です。教育目的に使われなかった残額は贈与税や相続税の課税対象となる場合があります

今後の教育資金贈与はどうする?

毎年の暦年贈与や、結婚・子育て資金の贈与制度など、他の手段を活用することが選択肢になります。どの方法が適しているかは、家族の状況によって異なります

教育資金贈与の制度がなくなることで、「孫への教育支援をどのように行うか」という問いに改めて向き合う必要があります。毎年の暦年贈与や、結婚・子育て資金の贈与制度など、他の手段との組み合わせを専門家と一緒に検討することをおすすめします。

📋 まとめ

  • 相続開始前5年以内に取得した賃貸物件は、路線価ではなく市場価格に近い金額で評価されます(詳細は別コラム参照)
  • 不動産小口化商品は取得時期に関係なく市場価格で評価されます。賃貸物件と異なり、一定期間経過後も従来の路線価評価には戻りません
  • 教育資金の一括贈与非課税措置は令和8年度末で終了。令和9年以降は通常の贈与税の対象となります
  • 今回の改正は令和9年以降に適用されます。「自分の対策に影響があるかどうか」を早めに確認し、必要に応じて見直しを行うことが大切です。

★ 「今の相続対策が改正でどう変わるか確認したい」という方へ

不動産・小口化商品・贈与の活用方針は、今回の改正を踏まえて改めて整理することが大切です。「今のまま続けていいのか」「他の手段に切り替えるべきか」など、一緒に確認しましょう。

「まず現状を確認したい」というご相談も、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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たかやまあゆみ税理士事務所 女性相続support

税理士 たかやまあゆみ(相続専門の税理士 港区)

相続専門の税理士として、相続・事業承継をサポート。「難しい税務をわかりやすく」をモットーに、多くのご家族の相続に寄り添っています。