
相続コラム
認知症になったら親の預金が使えなくなる?
「口座凍結」の現実と、今できる備え
「母が認知症と診断されたばかりです。これからの介護費用のために、通帳の管理を私が代わりにしようと思っているのですが…大丈夫でしょうか?」
このようなご相談が、最近とても増えています。親御様の認知症の問題に直面している方はとても多いように感じます。
「なんとかなるだろう」と思っていた方が、実際にそのような状況になって初めて、その現実に気づかれることも少なくありません。
今回は、ご相談にいらっしゃった鈴木さんのケースをもとに、「認知症と口座凍結」の現実と、今からできる対策についてわかりやすく解説します。
鈴木さん(50代・女性)のお母様が、認知症と診断されました。介護施設への入所を決め、その費用を準備しようと銀行の窓口を訪れたところ、銀行側の判断で口座の取引が制限され、それ以降、引き出しができなくなってしまいました。
「施設の準備は整っているのに、肝心のお金が引き出せない。入所費用の支払いができなくて、どうすればいいのか…」と、途方に暮れた状態でご相談にいらっしゃいました。
このような「口座凍結」は、今やご家族に認知症の方がいる多くのご家庭で直面する問題です。そして、ほとんどの方が事前には想定していません。
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そもそも、なぜ口座は凍結されるのか
口座凍結は、医師が「認知症」と診断したから自動的に起きるわけではありません。銀行が独自に「判断能力が低下している可能性がある」と判断したとき、本人の財産を守る目的で行われます。
たとえば、次のような場面がきっかけになることがあります。
凍結のきっかけになりやすい場面
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窓口での会話がかみ合わない、同じことを繰り返す - ✦
家族が「本人の代わりに手続きをしたい」と申し出る - ✦
家族や親族から「認知症かもしれない」という連絡が銀行に入る
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凍結されると、何ができなくなるのか
口座が凍結されると、引き出し・振込・定期預金の解約など、ほぼすべての新規の取引が止まります。たとえ家族であっても、本人の口座からお金を動かすことはできません。
✗ できなくなること
ATM・窓口での出金
他口座への振込・送金
定期預金の解約
介護費用などの新規支払い
✓ 継続されること
登録済みの公共料金の自動引き落とし
年金などの自動入金
(ただし引き出しは不可)
「引き出せない」という状態は、介護費用の工面に直接影響します。鈴木さんのように、施設の入所費用が払えず、手続きを進めることができなくなってしまうという事態は、決して珍しくありません。
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解除するには「成年後見制度」しか道がない
一度凍結されてしまうと、法律上、口座を正式に動かすには「成年後見制度」を利用するしかありません。家庭裁判所に申立をして、後見人を選任してもらう手続きです。
ただし、この制度にはいくつかの難点があります。
成年後見制度を使う場合の注意点
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手続きが完了するまでに数ヶ月かかるため、その間は口座が使えない状態が続く - ✦
後見人への報酬が継続的に発生し、原則として本人が亡くなるまで終わらない - ✦
資産の積極的な運用や生前贈与など、本人にとっても有利な行為も制限されることがある
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凍結される前にできる3つの備え
大切なのは、判断能力がしっかりあるうちに手を打っておくこと。状況に合わせて、複数の手段を組み合わせることができます。
家族信託
信頼できる家族に財産管理を「託す」仕組みです。認知症になった後でも、受託者(任された家族)が口座を管理し、介護費用などの支払いを継続することができます。3つの手段の中でも、口座凍結への備えとして特に有効とされています。
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任意後見制度
判断能力があるうちに、自分で後見人を指定しておく制度です。いざ認知症になったとき、裁判所が選んだ見知らぬ人ではなく、自分が信頼して選んだ人に財産管理を任せることができます。
どの手段も、「まだ早い」と思っているうちに使えなくなります。ご本人に判断能力があるかどうか、それが対策できるかどうかの分かれ目です。
📋 まとめ
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口座凍結は認知症の診断書ではなく、銀行が独自の判断で行います - ✦
一度凍結されると、成年後見制度を経なければお金を動かせなくなります - ✦
家族信託・任意後見など、事前の対策手段は複数あります - ✦
対策はすべて「判断能力があるうち」しか使えません。早めの備えが、ご家族を守ります。
★ 「親の口座、このままで大丈夫かな…」と思ったら
認知症と口座凍結の問題は、気づいたときには選択肢が少なくなってしまう、というケースが少なくありません。
「まだ大丈夫」と思えている間に、ぜひ一度ご相談ください。
たかやまあゆみ税理士事務所 女性相続support
税理士 たかやまあゆみ(相続専門の税理士 港区)
相続専門の税理士として、相続・事業承継をサポート。「難しい税務をわかりやすく」をモットーに、多くのご家族の相続に寄り添っています。