【税制改正】 貸付用不動産の評価方法、見直しへ

【2026年度税制改正】
取得後5年以内の賃貸物件 要注意!!

「先日、銀行の方から『相続税の対策に賃貸マンションを建ててはどうですか』と勧められました。でも、税制が変わると耳にして…今からでも間に合うのか、不安なんです。」

このようなご相談が、このところ少しずつ増えています。賃貸物件を使った相続対策は長く知られてきた方法だけに、関心をお持ちの方はとても多いように感じます。

「みんながやっている方法だから安心だろう」と思っていた方が、ルールの見直しを知って初めて、立ち止まって考え始められることも少なくありません。

今回は、ご相談にいらっしゃった幸島さんのケースをもとに、「貸付用不動産の評価方法の見直し」とは何か、そしてこれからどう考えていけばよいのかを、ご説明します。

📖 事例

幸島さん(八十歳・男性)は、ご家族のために少しでも相続税の負担を軽くしてあげたいと考え、知人から「借入をして賃貸マンションを買えば、評価額が下がって相続対策になる」と聞き、銀行からも前向きな提案を受けていたそうです。

「子どもたちに迷惑をかけたくない一心で、思い切ろうと決めかけていました。ところが、税制が変わって、買ったばかりの物件は今までのようには評価されなくなる、という話を聞いて…。果たして本当に対策になるのか、急に分からなくなってしまったんです。」と、不安げにご相談にいらっしゃいました。

幸島さんのように、「これまで当たり前とされてきた方法が、これからも同じように使えるのか」と迷われる方が、今とても増えています。そして多くの場合、変更点の中身までは正確に知られていないのが実情です。

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そもそも、なぜ貸付用不動産が相続対策に使われてきたのか

相続税は、亡くなった方が遺した財産の「評価額」に対してかかります。ここで大切なのが、現金や預金はそのままの金額で評価されるのに対し、不動産は実際の取引価格よりも低く評価される傾向がある、という点です。

さらに、人に貸している不動産は、自分で自由に使える状態よりも評価が抑えられます。そのため、現金を賃貸物件に換えておくことで、相続税の対象となる評価額を小さくできる、と考えられてきました。

これまで対策として注目されてきた理由


  • 現金や預金は、額面そのままで評価される

  • 不動産は、実際の市場価格より控えめに評価されることが多い

  • 人に貸している不動産は、評価がさらに抑えられる

この仕組み自体は、不動産が持つ特性に根ざした、ごく自然な考え方です。実際に賃貸経営をして家賃収入を得ながら、結果として評価が抑えられている、というご家庭はたくさんあります。

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今回、何が見直されるのか

これまでの仕組みのなかで、課題として指摘されてきたのが、相続が間近に迫ってから、多額の借入で急いで賃貸物件を購入し、評価額との差を最大限に利用するような使い方です。

実際に賃貸経営を続けてきた方と、評価を下げることだけを目的にしたケースとでは、実態が大きく違います。そこで今回の見直しでは、こうした差を整えていく方向が示されました。

✗ 見直しの対象になりやすい

亡くなる間際に取得したばかりの貸付物件
取得から日が浅いまま相続を迎えたケース
評価額の差だけを狙った短期の取得

✓ これまで通りに近い

長く保有し賃貸経営を続けてきた物件
ずっと前から所有していた土地の活用
(個別の事情により異なります)

では、具体的にどう変わるのでしょうか。要点を、これまでとこれからで並べてみます。

これまで(現行)

賃貸不動産は、土地も建物も、実際の市場価格より控えめな基準で評価され、人に貸していることでさらに評価が下がっていました。そのため、購入した金額に比べて、相続税の評価額がかなり低くなるケースが多くありました。

これから(改正後)

亡くなる前の5年以内に購入・新築した賃貸不動産は、こうした評価方法ではなく、実際に支払った購入価額をもとにした金額(おおむねその8割)で評価されます。購入価格と評価額の差が小さくなり、これまでのような大きな圧縮は期待しにくくなります。

この新しい評価方法は、再来年(令和9年)以降に発生する相続などから適用される予定です。幸島さんが心配されていたのも、まさにこの点でした。

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だからといって、賃貸経営そのものが否定されるわけではありません

ここで安心していただきたいのは、今回の見直しは、賃貸経営や不動産の活用そのものを否定するものではない、という点です。見直しの主眼は、あくまで実態を伴わない短期的な使い方にあります。

長く所有してきた土地を活かして賃貸経営をしてこられた方や、ご家族の暮らしの基盤として不動産を守ってこられた方にとっては、これまでの考え方が大きく変わるわけではありません。経過的な配慮が設けられる部分もあります。

落ち着いて確認しておきたいこと


  • 賃貸経営による家賃収入や、暮らしの安定という本来の価値は変わらない

  • 長く保有してきた物件と、取得直後の物件とでは扱いが異なる
⚠️ 大切なのは、「評価を下げること」だけを目的にしないことです。賃貸経営として無理がないか、ご家族が引き継ぎやすいかという視点を、あわせて考えておくと安心です。

4
これから考えておきたい備え

幸島さんのように、これから対策を考える方も、すでに賃貸物件をお持ちの方も、いま一度、ご自身の状況を整理しておくことが何よりの備えになります。

いま保有している不動産の状況を整理する

いつから所有しているのか、どのように取得したのかによって、見直しの影響は変わってきます。まずはお手元の物件がどういう経緯のものかを整理しておくと、これからの判断がしやすくなります。

「節税」だけでなく暮らしと承継から考える

評価額の話だけにとらわれず、ご自身の生活の安定や、ご家族が引き継いだあとの管理のしやすさまで含めて考えることが大切です。無理のない計画は、結果としてご家族を守ることにつながります。

早めに専門家へ相談する

見直しの影響は、物件の取得時期やご家庭の事情によって一人ひとり異なります。ご自身のケースがどう扱われるのか、迷ったときは早めに専門家へ相談されることをおすすめします。

大きな決断の前に、いったん立ち止まって確かめる。幸島さんも、ご相談のうえで、ご自身とご家族にとって無理のない形を一緒に考えていくことになりました。

📋 まとめ


  • 貸付用不動産は、評価の特性から相続対策に使われてきました

  • 今回の見直しは、亡くなる前の5年以内に取得した物件の評価のしかたを見直すものです

  • 賃貸経営そのものや、長く保有してきた物件が否定されるわけではありません

  • 評価額だけにとらわれず、暮らしと承継から考えること。迷ったら早めの相談が安心です。

★ 「うちの賃貸物件、これからどう考えればいい?」と思ったら

不動産を使った相続対策は、ルールの見直しによって考え方が少しずつ変わってきています。
大きな決断をされる前に、ぜひ一度ご相談ください。ご家庭の事情に合わせて、無理のない形を一緒に考えます。

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たかやまあゆみ税理士事務所 女性相続support

税理士 たかやまあゆみ(相続専門の税理士 港区)

相続専門の税理士として、相続・事業承継をサポート。「難しい税務をわかりやすく」をモットーに、多くのご家族の相続に寄り添っています。