
【未成年の相続手続き】
ご相続人に未成年者がいるときの留意点!
「孫が相続人になるなんて、思ってもいませんでした」——そうおっしゃったのは、相続のご相談にいらした井口様(77歳)でした。
井口様のご長男はすでに他界されており、そのお子さん(井口様のお孫さん)がまだ小学生。この場合、お孫さんは「代襲相続人」として相続人の一人となります。井口様は「まさか孫が相続の話し合いに関係するとは」と驚かれていましたが、実はご病気などさまざまなご事情により先にお子様が他界されたというご相談は少なくなく、未成年者が相続人になるケースは珍しくないのです。
ただし、相続人に未成年者がいる場合は、手続きの進め方が通常とは少し異なります。今回はそのポイントをわかりやすくご説明します。
- ✦未成年者が相続人になるとき、誰が手続きを行うのか
- ✦親が代理できない「利益相反」とはどういう状況か
- ✦特別代理人とは何か、どうやって選ぶのか
- ✦相続税の「未成年者控除」について
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未成年者は自分で相続手続きができない
未成年者は、法律上、財産に関する重要な決断を単独で行う能力が認められていません。そのため、遺産分割協議(相続財産の分け方を話し合うこと)に参加したり、書類にサインしたりといった手続きは、基本的に親権者(親)が代わりに行います。
たとえば、遺言書の内容に従って分割する場合や、法律で定められた割合(法定相続分)でそのまま分ける場合は、話し合い自体が不要なので親が問題なく代理できます。
ただし、現実の相続では不動産などの財産の性質上、法定相続分どおりきっちり分けられないケースも多く、「話し合いが必要になる場面」は意外と多いものです。
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親が代理できない場合がある——「利益相反」の問題
相続において注意が必要なのは、親と未成年の子が同時に相続人になるケースです。
たとえば、夫を亡くした妻と未成年の子がともに相続人になる場合、妻の取り分が増えれば子の取り分は減ります。つまり、親と子の利益が相反する関係になるため、親が子の代理人として話し合いに参加することは法律上認められません。これを「利益相反行為」と呼びます。
利益相反になる主なケース
- ✦親と未成年の子が同時に相続人になる場合
- ✦未成年の子が複数いる場合(子ども同士でも利益が対立するため、それぞれに代理人が必要)
こうした場合、家庭裁判所に申し立てて「特別代理人」を選任してもらう必要があります。
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特別代理人とは
特別代理人とは、利益相反の場面で未成年者の代わりに遺産分割協議に参加する人のことです。
誰がなれるのか
弁護士や司法書士などの専門家を想像される方も多いのですが、特別な資格は必要ありません。一般的には、未成年者のおじ・おばや祖父母など、相続において利害関係のない親族が選ばれることもあります。ただし、適切な親族がいない場合や、親族間の関係が複雑な場合には、弁護士や司法書士が選任されるケースもあります。
申立ての手続き
特別代理人の選任は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。申立て時には、候補者の氏名や、遺産分割協議書の案(どのように分けるか)を提出することが求められます。なお、未成年者は原則として法定相続分を相続する内容の分割案とすることが求められます。
選任されるまでには一定の時間がかかるため、相続の発生後は早めに準備を始めることが大切です。
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った翌日から原則として10か月以内です。特別代理人の選任手続きに時間がかかり、申告が遅れると、節税効果のある各種特例が使えなくなる場合があります。早めに専門家へご相談ください。
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相続税の「未成年者控除」について
未成年者が相続人となる場合、相続税の計算において「未成年者控除」という税額控除が適用されます。
これは、成年(満18歳)に達するまでの年数に応じて、相続税額から一定額を差し引くことができる制度です。つまり、相続発生時のお子さんの年齢が若いほど、控除される金額が大きくなります。
なお、未成年者控除を適用した結果、相続税額がゼロになった場合には申告が不要なこともありますが、各種特例との兼ね合いや財産の内容によって判断は異なります。申告が必要かどうかは、必ず専門家に確認されることをお勧めします。
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井口様のケースでは
井口様の場合、お孫さんは「代襲相続人」として相続人になります。お孫さんの親(お嫁さん)は井口様の相続人ではないため、お嫁さんが法定代理人として手続きを行える可能性があります。ただし、ほかに相続人がどなたいるかによって、利益相反の有無が変わります。
「うちは当てはまるのかな?」と感じた方は、まずは相続人全員の関係性を整理することから始めると、状況がぐっとクリアになります。
📋 まとめ
- ✦未成年者は単独で相続手続きができないため、基本的に親権者が代理して行います
- ✦親と未成年の子が同時に相続人になる場合など、「利益相反」が生じるときは特別代理人が必要です
- ✦特別代理人の選任には時間がかかるため、相続税の申告期限(10か月以内)を意識した早めの対応が大切です
- ✦未成年者控除という税額控除もあります。適用の可否は財産の内容や特例との兼ね合いもあるため、専門家への相談をお勧めします。
★ 「うちの相続、未成年の子や孫が関係するかも」と思ったら
相続人に未成年者がいる場合、手続きの流れが通常とは異なります。特別代理人の選任が必要かどうかも含め、早めにご相談いただくほど選択肢が広がります。ご家庭の事情に合わせて、一緒に考えます。
たかやまあゆみ税理士事務所 女性相続support
税理士 たかやまあゆみ(相続専門の税理士 港区)
相続専門の税理士として、相続・事業承継をサポート。「難しい税務をわかりやすく」をモットーに、多くのご家族の相続に寄り添っています。